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合気道との出会い2

合気道を始めたのは31歳の時でした。

 

 

20代、30代、40代、50代、60代の

それぞれ異なる仕事、異なる背景を持った男女が

同じ趣味に興じるのは、とても楽しかったです。

 

しかも、合気道は、何だか全然、違うのです。

 

姿勢。

姿勢なんて、それまで考えたこともありませんでした。

 

歩き方。

歩き方だって、考えないですよね。

 

力を入れずに、抜く。

はあ?力を入れないと投げられないのでは?

 

筋トレはしない。

筋トレ必要無いの?わけわかんない。けど、少し嬉しい。

 

受け身。

かっこいい。でも少し怖い。

 

そして、技。

まるで、わかんない。何それ?何でそんな変な使い方するの?

 

構え。

えっ。構えないの?どうして?意味わかんない。

 

こりゃあ、ダメだ。今までの身体のあり方、使い方、全て違う。

 

産まれたばかりの赤ちゃんに戻らないと。

 

しかし、長年の癖がついているので、修正が大変でした。

 

もう毎日、朝起きてから寝るまで、合気道と氣の健康法のことしか

考えない日々が続きました。

 

呼吸法が大切と聞くと、15分でも、と言われましたが、

全然、身体の力が抜けないのです。

 

30分やると、最初の15分は力が入っているのですが、

後半の15分は力が抜ける。

 

毎日やっていくうちに、正座していると時間がとれないのですが、

他の事をやりながら、するようにしたら、

1日に4時間は出来るようになりました。

 

立ち姿勢が、わからない時は、一時、5時間立ちっぱなしの仕事を

夜中から朝まで、やったこともあります。

 

本当に、何であれほど一生懸命になれたのか

今でも、よくわかりません。

 

にしても、簡単には上達しないのです。

 

当時は、一番上の先生が、はるか雲の上にいらして、

しかし、姿は全く見えない状態。

 

ぼくは、下の海で溺れかけながら、手足をバタバタして、

どこかに掴まるところが無いか、足場を探している、

そんな気持ちでした。

 

だって、ぼくは、小学中学と体育はずっと2でしたから。

運動部にも入らず、何もしたことがなかったのですから、

本当に絶望的な気持ちでした。

 

よくあきらめずに、続けたものです。

それだけは褒められます。

 

きっと変わりたかったのです。

そして、子どもの頃の夢になんとか縋り付きたかったのです。

 

・・つづく。